レトロゲームのインターレース解除のやり方
おことわり
インターレースは媒体によって映像を映すための方法が異なりますが、この記事ではレトロゲームでのインターレースについてのみ書いています。
はじめに
FCからPS2辺りまでのレトロゲームでは、インターレースという技術を使って映像を表現しています。
インターレースについて詳しく説明すると非常に難しいお話になってしまうので簡単に説明すると、720×480の1枚の画像を表現するのに最初の1/60秒で720×240の情報を送り、次の1/60秒で表示できていないところの720×240の情報を送ることで、結果として1/30秒という単位で見ると720×480の1枚の画像が映っているかのように見せかける技術です。
ゲームが発売された当時の環境(ブラウン管テレビ)だとこの方式で映像が綺麗に映っていました。ただ、PC画面上にキャプチャして1フレーム単位で見れる世の中になってくるとインターレースで表現した映像は独特の縞模様(インターレース縞と言います)が目立ってしまいます。
上記のゲーム画像は『アンリミテッド:サガ』の戦闘画面で激しく動いている部分を取り出してニアレストネイバー法で大きさを2倍にしたものですが、動きがあるリール部分はかなり縞模様が目立っています。
このインターレース縞を消すには”インターレース解除”を行う必要があります。
インターレース解除には様々な方法がありますが、今回はリアルタイム配信でインターレース解除を行うための方法をご紹介します。
キャプチャソフトを使う
一番多く使われている手法としてはインターレース解除に対応しているキャプチャソフトを使い、キャプチャソフト側でインターレースを解除する方法です。
例えばアマレコTVですと、設定のところにインターレースを解除する”デインターレース”の項目があります。ここにチェックを入れることでインターレースの解除が可能です。
ただ、アマレコTVのインターレース解除の処理モードは割とファジーな言い回しで分けられているので、ゲームによっては正しくインターレース解除できなかったりします。
※アンリミテッド:サガの戦闘画面より
上記の動画を一時停止しながら視聴してもらうと分かりやすいですが、この動画はそれぞれアマレコTVの異なるデインターレースの処理モードを使っている録画です。
アンリミテッド:サガはRPGなのですが、この戦闘画面だと動画右上の”処理モード:アクション”でのみ正しくインターレース解除が可能でした。
ファミコンなどのゲームは処理モードをレトロゲームにしてやると上手に解除してくれますが、ゲーム機が新しくなるにつれてインターレース解除も複雑になってきます。
インターレース解除にアマレコTVを使う方は多い印象ですが、ゲームによって処理モードを変えなくてはならない、またプレイするゲームのジャンルと実際にインターレース解除ができるモードが一致しないことがあるという点でアマレコTVでインターレース解除を行うのは難度が高めです。
エンコードソフトを使う
次にエンコードソフトを使う方法について解説します。
様々なエンコードソフトでインターレース解除を行うことができますが、今回はリアルタイム配信に使うもので入手がしやすいという点で”OBS Studio”を使ったインターレース解除について書き残しておきます。
まずはゲーム画面をOBS Studioに映す方法ですが、ソースから”映像キャプチャ”を選択してゲーム機と繋げているキャプチャデバイス(自分の例だとGV-USB2)を選択します。この際にもし他のキャプチャソフトを立ち上げていたら必ずそれを閉じてから行ってください。
ゲーム画面が映ったらソースを右クリックし、インターレース解除を選択してお好みのインターレース解除のアルゴリズムを選択してください。
一般的には”Yadif 2x”がインターレース解除を行う上で一番強力なアルゴリズムだと言われています。検索してみるとYadif 2xでは重たいという声もあるのでもしその場合は通常のYadifを、ゲームによっては画面が揺れたりする場合もあるみたいなのでもしそうなったらLinearかBlend辺りを選んでみてください。
なお、十数年前はエンコードソフトを使ったインターレース解除はPCが重くなりすぎて配信に影響が出るということがありましたが、今はそんなことはなくむしろキャプチャソフトを立ち上げてそれをウィンドウキャプチャで映すほうが負荷が高いです。
HDMI変換器を使う
レトロゲームで使われるコンポジット端子やS端子をHDMI端子に変換する機器が世の中には売られており、これを使うと簡単にインターレース解除ができます。
上記のような安いものでも簡単にインターレース解除が可能です。
ただ、画面比率が4:3から強引に16:9に引き伸ばされて見づらくなってしまうことや、そもそも変換の質が良くない、さらに変換器によっては遅延が大きいことからおすすめはしづらいです。
『フレームマイスター』、『OSSC』、『RetroTINK』などが画質を維持したまま低遅延で変換できる変換器ですが、かなりのお値段だったり海外通販だったりするのでなかなか躊躇するかもしれません。
まとめ
インターレース解除の方法は長年研究されていますが、未だに最適となるアルゴリズムが見つかっていない状況です。
私もインターレース解除についてはまだよく分かっていませんが、よく分かっていないなら難なくインターレース解除をしてくれるという点でエンコードソフトを使ってインターレース解除をするのが一番おすすめです。
動画
ディスカッション
コメント一覧
いつも記事を参考にさせていただいております。
SFCでプレイしているのですが、S端子を入力できるモニターでおすすめはありますでしょうか。
最近ではなかなかS端子が入力できるモニターが見当たらなくて困っています。
HDMIに変換するのが一番手っ取り早いかと思われますが、画面が引き伸ばされてしまうとのことで、やりづらくならないかが不安です。
何か参考になる情報をご存知でしたら、ご教示いただけますと幸いです。
現在S端子で接続できるモニターを新規に製造しているメーカーはありません。なのでオークションサイトやフリマサイトで中古のものを購入というのが現実的です。
液晶モニターは最近製造されているゲーミングモニターでないと遅延が大きいことが多いため、S端子が繋がるような昔の液晶モニターの購入はおすすめしません。液晶でS端子が繋がって低遅延となると探すのが難しいです。
2000年代に製造されてS端子も繋がる14~16型くらいのブラウン管テレビを中古で購入というのが一番ベストな選択ではないかと思います。値段も2,000~3,000円程度が相場のようです。
ブラウン管テレビについては平面ブラウン管と曲面ブラウン管がありますが、平面でないと見づらいので買う際は注意してください。
ちなみにS端子をHDMIに変換するならば、記事中にも書いていますが安物ではなくフレームマイスターやRetroTINKを使えば本来のゲームのアスペクト比(4:3)を維持したままプレイすることが可能です。
>管理者様
丁寧にご回答いただきありがとうございました。
とても参考になりました。
記事でも紹介されていたフレームマイスターやRetroTINKは4:3を維持してのプレイが可能とのことで、購入を検討してみようかと思います。